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ホーム [シネマ&演劇]

音楽座ミュージカル「ホーム」を町田市民ホールでみた。昭和34年から高度成長期が物語の舞台。男女が出会い、子どもが生まれ、温かい家族の団らん。突然女が失踪する。

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戦後を引きずる孤児や貧困、そして燃え上がった学生運動。テレビが茶の間に鎮座して、それをみんなが取り囲む。昭和世代にはノスタルジア、平成生まれには理解できないだろう日常風景が、心地よかったり、逆に心がざわついたりもした。まさに正統派のミュージカル。


ホームタウン公演ということで、観客はジモティが多かった。主演は森彩香と広田勇二。広田の声音は大泉洋に似て聞こえた。

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子どもが教えてくれたこと [シネマ&演劇]

フランスのジャーナリスト、アンヌ=ドフィーヌ・ジュリアンさん監督のドキュメンタリー映画を試写でみた。アンブル、カミーユ、イマド、シャルル、テュデュアル。病気を患う5人の子どもたちが主人公。がんや腎臓病など、長く苦しい治療を続けながら、家族とともに毎日を暮らす。子どもはユニバーサルな存在というとおり、素敵な笑顔は万国共通だと感じた。

癒えぬ手術痕の消毒や、人工透析の注射針。毎日のことで慣れていても、やはり痛く辛い。涙が出る。目をそむけたくなるような映像ではないが、子どもの身に置き換えてみると、痛い気持ちになる。

緩和医療としてモルヒネを使うシーンがたびたび出てくる。痛みを抑えながら家族とともに日常を送る。今この時を生きようとする子どもたち。それが子どもの力。病気の子どもにどうやって寄り添うか。子どもに限らず病を得た家族のことをいつしか考えていた。

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ユニコン物語~台東区篇 [シネマ&演劇]

新宿梁山泊の第63回公演を新宿・花園神社の紫テントでみた。唐十郎が劇団状況劇場で手がけた作品。かつての大作「吸血姫」「唐版 風の又三郎」に代表される完成されたスタイルとロマン主義的情感をそぎ落とし、乾いた手触りの喜劇へと姿を変えていく。演劇評論家の扇田昭彦さんはそんな流れの中にある、唐作品の一つと位置づけているが、今作も金守珍さんの外連味あふれる演出で小屋芝居の醍醐味を満喫した。

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申大樹演じるテシオと、水嶋カンナのアドネ。ギリシャ神話に題をとったドラマが下谷の町で繰り広げられる。病院長の大鶴義丹は白衣に救急バイクで颯爽と舞台に登場し、排ガスの臭いと騒音をまき散らし、吹っ切れた演技で笑いをとった。大久保鷹は横井さん役。戦後28年たってグアム島で投稿した、故横井庄一さん。初演当時の時代が思い浮かぶ。

桟敷自由席に久しぶり座ったが、3幕3時間のあぐらは腰にこたえた。お約束の防水シートなど、かぶりつきの楽しさはあるが、次回は椅子指定席にしよう。

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「ヌード」展 [アート]

英国テート・コレクションからの「ヌード」展を横浜美術館でみた。目玉はロダンの彫刻「接吻」。男女が裸で抱き合う構図は、「抱擁」といったタイトルの方が合うかもしれないが、制作当時はセンセーショナルで展示に布がかぶせられたりしたという。

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人間は人のはだかをどのように描いてきたのか。写真や映像があふれ、ネットによってさまざまな「ヌード」が簡単に見られる時代。人々の想像力の翼ははばたきにくくなっているのではないか。男女の視点の違いもアートとして描かれる内容を変容させている。


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万引き家族 [シネマ&演劇]

是枝裕和監督のカンヌ映画祭パルムドール受賞作を日比谷のTOHOシネマでみた。考えてみれば、ストレートな映画のタイトル(外国語に訳すのも簡単)は、現代の「家族」が抱えるテーマを国境を越えて訴えるのに寄与したかもしれない。

舞台は東京・隅田川沿いの下町。リリー・フランキーと安藤サクラのカップルと、ばあちゃんや子どもたちが一緒に暮らす。ごちゃごちゃした狭い部屋で、みんなでごはんを食べる。温度や湿気、臭い、リアルな生活感が伝わる。そこにある、温かさこそ、家族の本質なのだと思う。

子どもの虐待や放置、孤立する高齢者、隣近所の崩壊、経済格差。社会のセーフティーネットからこぼれ落ちる人たちがいる現実。行政による対応だけでは救いきれない。それならば、もっといろんなかたちの「家族」があってもいいのではないか。「ワークシェアってのは、みんなで貧乏になりましょうってことだろ」。作品に出てくる、せりふには今の政治への痛烈な批判も。監督の姿勢があらわれていた。

松岡茉優演じる家出娘がJKリフレでバイトするシーン。海外では、あの日本独特の風俗業が理解できたであろうか。


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ニンゲン御破算 [シネマ&演劇]

かつて中村勘三郎が主演した「ニンゲン御破産」。「産」を「算」に変えた25年ぶりの再演をシアターコクーンでみた。松尾スズキ作・演出の時代劇は初めて。幕末を舞台に大河風にエンタテイメントに仕立て上げた。中村座を立ち上げたり、現代劇とコラボしたり、意欲的に新時代の歌舞伎に取り組んだ勘三郎の思いをストーリーに取り込んでいた。


安心して笑える筋立て、歌舞伎の趣向も取り入れているが、もう少し大どんでん返しがあってもよかったような。阿部サダヲ、岡田将生、多部未華子に、荒川良々、皆川猿時、平岩紙らが脇を固める。最近CMで見て、「随分と色っぽくなった」と思った多部未華子、もうそろそろ娘役を卒業した方がいい。



登場人物に鶴屋南北、黙阿弥が出てくる。戯作者へのオマージュが感じられるストーリー。松尾スズキが近松門左衛門を演じて面白かったNHK時代劇「ちかえもん」を思い出したが、調べてみるとこちらは松尾の作・演出ではなく、「ちりとてちん」を書いた藤本有紀のオリジナルだった。

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天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎 (文春新書)

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  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/02/19
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中村勘三郎 最期の131日 哲明さんと生きて (集英社文芸単行本)

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  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/12/10
  • メディア: Kindle版



勘三郎伝説 (文春文庫)

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  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/10/10
  • メディア: Kindle版



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