バスキア展 メイド・イン・ジャパン [アート]
バスキア展を六本木の森アートセンターギャラリーで見た。ニューヨークの路上の落書きが、ウオーホールとの出会いを機にストリートアートとして認められていく。わずか27年の生涯、描き続けた情熱を間近に見た。
バブルの頃に来日し、感じたことを作品にしていて、それらの展示が今回の目玉。作品には文字が多く書かれ、社会を風刺したメッセージになっていたりするらしい。日本では雑誌ブルータスがいち早く特集し、アートに限らずファッションでもバスキアブームを巻き起こしたという。
zozoの前澤氏が高額で落札し話題になった青いガイコツの絵も展示されていた。観覧料は2100円と通常の展覧会より高い。その代わり全員に解説のレコーダーが貸与されて、吉岡里帆の声を聴きながら作品の意味を理解する趣向です。
瀬戸内国際芸術祭に行ってきました [アート]
瀬戸内国際芸術祭に行ってきた。トリエンナーレで2010年いらい4回目。瀬戸内の島々を舞台に春、夏、秋期で、世界のアーチストが屋外や古民家を利用した作品を展示する。
今年からはオフィシャルツアーが始まり、日程が限られていたし、土地勘がないことや移動手段のことも考えて、これこれと思って申し込んだ。
豊島、犬島コースは35人の申し込みがあり、高松港からチャーター船で40分ほどで豊島へ。ツアーガイドさんの説明で、かつて豊島を揺るがした産廃騒動を思い出した。穏やかな瀬戸内の海、有人だけでも300の島があるというが、わざわざこんな所に産廃を運んできて処理するなんて。業者は儲かりさえすれば環境もへったくれもなかった時代だったのだろう。この騒ぎをきっかけにいくつかの産廃処理基準など法規制が進んだが、地域の疲弊は残った。芸術祭はそんな地域に元気を取り戻す目的で、ベネッセの福武さんの肝いり、北川フラムさんのプロデュースで始まったという。
ツアーは青、黄色チームでマイクロバスに分乗。最初に訪れたのは、家浦港近くの豊島横尾館。稀代のアーティスト横尾忠則と建築家・永山祐子によるインスタレーションハウス。古民家を改造し母屋と蔵と納屋に、「生と死」をテーマにした絵画などが展開されている。海風に耐える焦がした板塀に真っ赤なステンドグラス。男性器や羊水をイメージした形状の塔や庭、ケバケバしい色彩が目に突き刺さるようなインパクトを与える。路地の先にいきなり出現したアートハウス、時が止まったような島の集落に馴染んでいるから不思議だ。
豊島で一番人気の島キッチンの弁当がお昼ご飯。瀬戸内鮮魚のフリットにベトナムソース、島野菜の天ぷらにまぜご飯など。ワッパに入っていて見た目から美味しそう。味がしっかりしていて、あっという間に完食でした。
豊島美術館は雫の形がモチーフで棚田の斜面に白い佇まいを見せていた。ツアーでは外から見るだけだったが、コンコンと湧き出る水が唯一の展示物という哲学的な空間に一度行ってみたい。
いくつかの野外展示を見た後、船で犬島へ。この島はかつて島全体が採石場で、その後銅精錬の工場ができたが、銅価格の暴落で操業をやめてしまい廃墟に。近年は近代産業化遺産として一部が美術館となり、廃墟マニアの聖地となっている。
家プロジェクトと題して、古民家を展示場として活用した作品をいくつか見学。脳内の景色、南国の花など、スケールの大きな作品が面白かった。
犬島精錬所美術館は、自然の光や風を生かした三分一博志の建築が画期的だった。坑道をイメージしたつくりと鏡のマジックで強いインパクトを受けた。日本の近代化に警鐘を鳴らした作家、三島由紀夫のアートワークも展示されていたが、ここで三島が出てくるとは思わなかった。
今年からはオフィシャルツアーが始まり、日程が限られていたし、土地勘がないことや移動手段のことも考えて、これこれと思って申し込んだ。
豊島、犬島コースは35人の申し込みがあり、高松港からチャーター船で40分ほどで豊島へ。ツアーガイドさんの説明で、かつて豊島を揺るがした産廃騒動を思い出した。穏やかな瀬戸内の海、有人だけでも300の島があるというが、わざわざこんな所に産廃を運んできて処理するなんて。業者は儲かりさえすれば環境もへったくれもなかった時代だったのだろう。この騒ぎをきっかけにいくつかの産廃処理基準など法規制が進んだが、地域の疲弊は残った。芸術祭はそんな地域に元気を取り戻す目的で、ベネッセの福武さんの肝いり、北川フラムさんのプロデュースで始まったという。
ツアーは青、黄色チームでマイクロバスに分乗。最初に訪れたのは、家浦港近くの豊島横尾館。稀代のアーティスト横尾忠則と建築家・永山祐子によるインスタレーションハウス。古民家を改造し母屋と蔵と納屋に、「生と死」をテーマにした絵画などが展開されている。海風に耐える焦がした板塀に真っ赤なステンドグラス。男性器や羊水をイメージした形状の塔や庭、ケバケバしい色彩が目に突き刺さるようなインパクトを与える。路地の先にいきなり出現したアートハウス、時が止まったような島の集落に馴染んでいるから不思議だ。
豊島で一番人気の島キッチンの弁当がお昼ご飯。瀬戸内鮮魚のフリットにベトナムソース、島野菜の天ぷらにまぜご飯など。ワッパに入っていて見た目から美味しそう。味がしっかりしていて、あっという間に完食でした。
豊島美術館は雫の形がモチーフで棚田の斜面に白い佇まいを見せていた。ツアーでは外から見るだけだったが、コンコンと湧き出る水が唯一の展示物という哲学的な空間に一度行ってみたい。
いくつかの野外展示を見た後、船で犬島へ。この島はかつて島全体が採石場で、その後銅精錬の工場ができたが、銅価格の暴落で操業をやめてしまい廃墟に。近年は近代産業化遺産として一部が美術館となり、廃墟マニアの聖地となっている。
家プロジェクトと題して、古民家を展示場として活用した作品をいくつか見学。脳内の景色、南国の花など、スケールの大きな作品が面白かった。
犬島精錬所美術館は、自然の光や風を生かした三分一博志の建築が画期的だった。坑道をイメージしたつくりと鏡のマジックで強いインパクトを受けた。日本の近代化に警鐘を鳴らした作家、三島由紀夫のアートワークも展示されていたが、ここで三島が出てくるとは思わなかった。
東京都庭園美術館へサイクル散歩 [アート]
白金台にある東京都庭園美術館まで自転車で散歩に行った。日曜日は都心もクルマが少なく気持ちいい。皇居そばの通りはサイクル専用道路になっていて、咲き始めたサクラを見ながらランラン気分のポタリングだ。
スイスイと五反田方面まで行ってしまい、少し遠回りになったが、庭園美術館に到着。美術館は旧朝香宮邸でアール・デコ様式の建物自体が美術品のような優雅な佇まいだ。岡上淑子さんの「フォトコラージュ沈黙の奇跡」展があっていて、せっかくなので鑑賞した。戦後の昭和20年代、西洋の人物・風景を切り貼りして、シュールレアリズム的な世界観を表現している。技法は素朴なところもあるが、解放された女性の時代へ向けて、その心象風景を作品にしている。レトロな雰囲気のモノクロの絵葉書を1枚、記念に買った。
庭は自然教育園に続く感じで広がっていて、日差しいっぱいの芝生と花をつけた樹木が気持ちよかった。
スイスイと五反田方面まで行ってしまい、少し遠回りになったが、庭園美術館に到着。美術館は旧朝香宮邸でアール・デコ様式の建物自体が美術品のような優雅な佇まいだ。岡上淑子さんの「フォトコラージュ沈黙の奇跡」展があっていて、せっかくなので鑑賞した。戦後の昭和20年代、西洋の人物・風景を切り貼りして、シュールレアリズム的な世界観を表現している。技法は素朴なところもあるが、解放された女性の時代へ向けて、その心象風景を作品にしている。レトロな雰囲気のモノクロの絵葉書を1枚、記念に買った。
庭は自然教育園に続く感じで広がっていて、日差しいっぱいの芝生と花をつけた樹木が気持ちよかった。
三鷹天命反転住宅を見学した [アート]
東京都三鷹市にある「三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー」の見学会に行ってきた。芸術家の荒川修作と詩人マドリン・ギンズが作った未来住宅。カラフルで積み木を積み重ねたようなマンションで実際に住人がいる。3階の2部屋はショートステイ用で、宿泊客がおらず、スタッフの都合がつく時に見学できる。入場料2700円、この日は20人ほどの見学者が集まった。
学芸員の指示で室内を裸足で歩いたり、天井の金具に荷物を収納?したり、見学者自らが身体を動かしながら住宅を体験する。凸凹の床、傾いた天井、色とりどりの壁、球体の部屋。普通ではない作りは、人間の神経を研ぎ澄まし、眠っている能力を覚醒させる。便利さや効率を追求する建築ではなく、まず人間が中心にいて、家を構成していく。そんなコンセプトで作られているという。
実際住んでみたら、身体に変調をきたすか、それとも未知なる才能が発現するだろうか。興味津々。最後にスタッフが事務所として使っている1階の部屋を見学。ブランコがあったり、吊り輪があったり、クライミングがあったりして、エクササイズ好きにはいいかも。でもルンバが使いずらいので掃除は大変かな。これまで考えたことのない視点から住まいを考える、とてもよい機会になった。
学芸員の指示で室内を裸足で歩いたり、天井の金具に荷物を収納?したり、見学者自らが身体を動かしながら住宅を体験する。凸凹の床、傾いた天井、色とりどりの壁、球体の部屋。普通ではない作りは、人間の神経を研ぎ澄まし、眠っている能力を覚醒させる。便利さや効率を追求する建築ではなく、まず人間が中心にいて、家を構成していく。そんなコンセプトで作られているという。
実際住んでみたら、身体に変調をきたすか、それとも未知なる才能が発現するだろうか。興味津々。最後にスタッフが事務所として使っている1階の部屋を見学。ブランコがあったり、吊り輪があったり、クライミングがあったりして、エクササイズ好きにはいいかも。でもルンバが使いずらいので掃除は大変かな。これまで考えたことのない視点から住まいを考える、とてもよい機会になった。
三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために―荒川修作+マドリン・ギンズの死に抗する建築
- 作者: 荒川 修作
- 出版社/メーカー: 水声社
- 発売日: 2008/04
- メディア: 大型本
新北斎展に行ってきました [アート]
六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーでやっている「新北斎展」に行ってきた。春朗、宗理、北斎と名前を変えながら絵を描き続けた、その人生を作品とともに辿る。最晩年に「画狂老人卍」を名乗るまで、描くことへの執念に圧倒される。
作品は、北斎研究に生涯を捧げた永田生滋さんのコレクション。昨年2月に亡くなられて、コレクションは出身の島根県に寄贈された。島根公開の前に東京での展覧会となったという。以前見た墨田区北斎美術館の展示は、実際の作品より周辺の資料が多かったが、今回の作品展は永田さんが蒐集した新発見が目玉だ。
北斎漫画や条幅など細かく書かれたものが多いが、異彩を放つのは西新井大師にある弘法大師修法図。鬼気迫る鬼の姿に見とれた。一見の価値がある展覧会だ。混雑緩和のため入場制限があり、休日午前で15分ほど行列で並んだ。
作品は、北斎研究に生涯を捧げた永田生滋さんのコレクション。昨年2月に亡くなられて、コレクションは出身の島根県に寄贈された。島根公開の前に東京での展覧会となったという。以前見た墨田区北斎美術館の展示は、実際の作品より周辺の資料が多かったが、今回の作品展は永田さんが蒐集した新発見が目玉だ。
北斎漫画や条幅など細かく書かれたものが多いが、異彩を放つのは西新井大師にある弘法大師修法図。鬼気迫る鬼の姿に見とれた。一見の価値がある展覧会だ。混雑緩和のため入場制限があり、休日午前で15分ほど行列で並んだ。
北斎原寸美術館 100%Hokusai! (100% ART MUSEUM)
- 作者: 山本 野理子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: 大型本
北斎漫画(全3巻セット) (Hokusai Manga 3 Vol Set)
- 作者: 葛飾 北斎
- 出版社/メーカー: 青幻舎
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: 単行本
ムンク展 [アート]
世界で一番知られている絵とも言われるムンクの「叫び」を見に東京都美術館に行った。平日の午後なのに結構な人出。チケット売り場に行列ができていた。
叫びの前は大渋滞。これまでに何度も雑誌や映像で見ているせいか、本物を見てもあまり感動はなかった。むしろ悲しい表情の「マドンナ」のリトグラフに惹かれて、記念にポストカードを買った。
オスロ市ムンク美術館公認のノベルティの多いこと。Tシャツからキーホルダーまで人気のほどがよくわかる。ポケモンの叫びなんてのもあって、ぬいぐるみは大人気で完売していた。アート界のアイドル的存在だ。
『ムンク展 共鳴する魂の叫び』 公式ガイドブック (AERAムック)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2018/10/25
- メディア: ムック
藤田嗣治展 [アート]
没後50年記念の藤田嗣治展を東京都美術館でみた。パリ・モンマルトルを拠点に乳白色のバックに裸婦を描いたフジタのイメージが覆される展覧会だった。
南米放浪で描いたドギツイ色彩の絵や、東北や沖繩など日本各地に主題を求めた作品、そして戦争画。第1次、第2次世界大戦に飜弄され、戦後は戦争への加担を問われ、再びフランスへ。ランスに住み、フランスの国籍を取り、キリスト教の洗礼を受け、レオナール・フジタとなった。
テーマや画風の変遷を見ながら思ったのは、藤田はただ描きたかったのだということ。絵への純粋な情熱が全てではなかったのか。女性が代わるたびに絵が変わる、というか、画風が変わるたびに愛した女性も代わる、そんな生涯に芸術家の自由な心を感じた。
仙厓礼讃 [アート]
博多の仙厓和尚の書画コレクションで知られる日比谷・出光美術館で、書画展「仙厓礼讃」をみた。人生50年の時代に還暦過ぎまで住職を務め、その後は隠居をし、好奇心の赴くままに祭りや珍しいものを見物に行ったり、地元の人たちと交友を広げたりした。米寿まで人生を謳歌した、いわば「老後の達人」の日々を書画でたどる。
有名な「□ △ ○」(出光佐三は海外向けに「ユニバース」と名付けて紹介した)はじめ、老人六歌仙画賛など、ユーモアあふれる作品が並ぶが、その作品が語るのは「人にはだれにも仏性がある」など、禅の教えだ。
「苦も楽も心ひとつの置きどころ 笑うて暮らせ人の一生」。先輩から教えてもらい、座右の銘としている仙厓さんの言葉だ。
特別展 縄文 [アート]
「特別展 縄文~1万年の美の鼓動」を上野の東京国立博物館でみてきた。酷暑の中、人出が少ないのを狙って午前中に行ったが、皆同じことを考えるらしく、それなりの混雑。涼しい館内で、お目当ての土偶と縄文土器をたっぷり鑑賞した。
火焔型土器、縄文の女神、遮光器土偶、縄文のビーナス。これだけそろって見る機会はない。岡本太郎によって再評価された縄文の美。縄文土器のあのデザインは同時代の世界を見回しても異彩を放つ。1万点も出土していながら、いまだ謎が残る土偶は実に多彩な造形であることが分かった。
土器にしろ土偶にしろ、単なる実用品を超えて、子孫繁栄や生活の豊かさを願い、宗教的な役割を担うアイテムだったのだろう。現代人が眺めて、そのデザイン性に惹かれ、面白く思うのはやはり、その根源にある素朴な願いに共通する思いを感じ取るからだろうか。ノーベル賞作家の川端康成は土偶をそばに置いて愛でていたという。日本列島に住んだ祖先の精神性を強く意識する展覧会であった。
平成館の前庭には森鴎外の肖像プレートが。かつてこの場所に館長としていたらしい。