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手の倫理 [読書日記]

美学者の伊藤亜紗さんの「手の倫理」を読む。「さわる」と「ふれる」の違いの解釈から、人のコミュニケーションの話へ展開する。直接触れ合うことがリスクになるコロナ時代、リモート会話が日常になる
中で手の感覚の役割、大切さを考えた。

フレーベルの恩物。初めて聞く言葉で、子供が遊ぶ積木や棒、ビーズなどの玩具をいう。フレーベルは幼稚園という教育段階を創り出した人という。幼い子が石を触りながら、それで地面にお絵かきができることを発見する。見る、聞く、臭う、味わう、といった感覚と同じように触感で人はいろんなことを学習し感じている。

書名にある倫理は道徳とどう違うのか。道徳は「○○しなさい」という絶対的で普遍的な規則。これに対して、倫理は現実の具体的な状況で人がどう振る舞うかに関わる。倫理に「一般」はなくて、状況が個別的なのに加えて、判断する個人は社会的、身体的、文化的、宗教的な条件の中で生きており、それぞれの視点で自らの行動を決める。

なるほどと、頷くことの多い一冊だった。


手の倫理 (講談社選書メチエ)

手の倫理 (講談社選書メチエ)

  • 作者: 伊藤亜紗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/10/08
  • メディア: Kindle版



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忙しすぎる人のための宇宙講座 [読書日記]

米国自然史博物館の天体物理学者ニール・ドクラース・タイソン著。高校時代に地学で学んだくらいの知識しかないが、たまに宇宙関係の本を読む。一時流行ったブラックホール以来、アインシュタインの一般相対性理論の話も随分読んだ。

この本も素人向けにやさしく書いてあるが、要するに宇宙はビッグバン以来、膨張し続けている。宇宙なるものがどこまでも広がっている。太陽系の属する天の川銀河はほんの一部であり、同じような銀河が地球から観測できるだけでも無数にある。人間の理解力を超える宇宙世界がある。

結局何から始まりどこまで行けば宇宙の果てがあるのか。太古から人間が考え続けてきた疑問に答えはまだ出ない。新型コロナで浮き彫りになったウイルスとの戦い。人間は自然を征服したつもりでも、自然全体の中では、きっと分かってなりことの方がずっと多いはずだ。いや分かっていることはほんの1%もないのではないか。次々と疑問が湧き出る本を読みながら改めてそう思った。


忙しすぎる人のための宇宙講座

忙しすぎる人のための宇宙講座

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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鴨居玲展 静止した刻 [アート]

没後35年、5年ごとに開催されているという鴨居玲展を見に久留米市美術館に足を運んだ。金沢出身、鴨居羊子の弟だとは知らなかったが、暗い独特の人物画は(どこで見たのか忘れたが)印象に残っていた。

スペインに長いこと暮らし、廃兵や酔っ払った男を描き続けた。自画像の画家とも言われ、自らをピエロにしたり酔っ払いにしたり。日本に帰り新たなテーマを見つけきれずに50代で急逝した。

酒好きだったらしい。男前できっといい奴だったんだろうなあ。一緒に酒を飲んでみたかった。飲んでは管を巻いていたんだろうなあ。芯から絵描きだったんだろうなあ。絵と共に飾られた写真を見ながら思う。酔っぱらったおじさんの絵ハガキを1枚、鑑賞の思い出に買う。1月以来の美術展、何か心にしみた。

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歯医者 [雑感]

10年ぶりに歯医者に通っている。以前治療した被せ物がとれて放置していたら、他の歯にも異常をきたし、口の中がグチャグチャな感じになってきた。これはいかん。意を決して歯医者の門を叩いた。

右下に銀をかぶせ、次は右上を工事。右下の被せ物がとれて随分ほったらかしてたので、右の歯が伸びていると歯医者。歯というのは伸びるもんなんですね。新しく右上に銀歯をつけて、次は左上の奥歯。食事をするたびに繊維質の食べかすが詰まってつまようじが欠かせない。なかなかとれないのでほじくっていたら歯茎までおかしくなる。長年の悩みを解消してもらうため、治療をお願いする。

普通の銀歯なら保険が効くが、セラミックだと保険外で5万を超える。さて、どうしますか。耐久性や見栄えから言うと、セラミックかな。高いけど、最近は外飲み自粛で金も使わんし、まあいいかと保険外を注文する。今年はからだメンテナンスに専念するか。改めて自分に言い聞かせ、納得する。


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