恭しき娼婦 [シネマ&演劇]
新宿梁山泊の第64回公演を池袋の東京芸術劇場で見た。ジャンポール・サルトル作、シライケイタ上演台本、金守珍演出。サヘル・ローズが主役のサヘルという名の娼婦を演じる。エキゾチックな顔立ちでスタイルも素敵。なかなかの熱演だったが、娼婦の醸し出す色気はイマイチだった。
そもそも娼婦の役柄というのは一筋縄ではいかない。身体を売る仕事をしながら、心は純潔といったストーリーは古今にある。そうした人間を演じるには、役者としてそれなりの経験値がいるのではないか。サヘルの演技は新鮮ではあったが、深みに欠けた。今後の成長に期待しよう。
椎名林檎(生)林檎博`18 [ミュージック]
静岡・掛川市のエコパアリーナであった、椎名林檎のアリーナツアーに行ってきた。初めてのライブ、ギンギンのロックボーカルと、昭和歌謡テイストのバラード曲。新宿系、リンゴ風味の声色に魅了されました。
CGやビデオアート、光の演出は、スタイリッシュでファッショナブル。林檎さんの横で踊る2人組のダンサーのカッコいいこと。トータス松本ら男性シンガーとのコラボも素敵だった。
もちろん林檎さんのファッションは、他を寄せ付けない。女王の冠を頭に載せてサマになるのは彼女しかいないだろう。ファッションリーダー、アイコンとして女性ファンが多いのは頷ける。
- 本能 with Mummy-D
- 流行 with Mummy-D
- 雨傘
- 日和姫
- APPLE
- MA CHERIE
- 積木遊び
- 個人授業(フィンガー5 cover)
- どん底まで
- 神様、仏様
- 化粧直し(インスト)
- カーネーション
- ありきたりな女
- いろはにほへと
- 歌舞伎町の女王
- 人生は夢だらけ
- 東京は夜の七時(浮雲ソロ)
- 長く短い祭 with 浮雲
- 旬
- 恋の呪文はスキトキメキトキス(アニメ「さすがの猿飛」主題歌)
- ちちんぷいぷい
- 獣ゆく細道
- 目抜き通り with トータス松本
- ジユーダム
アンコール
- はいはい
- 夢のあと
- 実録 -新宿にて- 丸の内サディスティック~歌舞伎町の女王
バンドスコアピースBP2086 獣ゆく細道 / 椎名林檎と宮本浩次 ~日本テレビ系「news zero」テーマ曲
- 作者:
- 出版社/メーカー: フェアリー
- 発売日: 2018/12/27
- メディア: 楽譜
椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- メディア: Blu-ray
書を捨てよ 町へ出よう [シネマ&演劇]
寺山修司原作の舞台化、池袋の東京芸術劇場でみた。寺山の著作を読んだのは中学・高校の頃。小田実の「何でも見てやろう」とともに、「書を捨てよー」は、若かった自分にとって、生き方の羅針盤となる言葉だった。
藤田貴大演出。建設足場を組み立て舞台装置に使う、その作業そのものをパフォーマンスとする。スクリーンに映像をうつし出し、舞台外からテラヤマを語らせる。本のようにCHAPTERで区切る構成も。実験的なテラヤマ・ワールドへのオマージュ。
ただ場面がブチブチと切れて、内容も説明的な部分が多く、わかりにくかった。又吉直樹さんや穂村弘さん、寺山記念館の佐々木英明さんが映像で登場し、語るのだが、あまり印象に残らなかった。
プーと大人になった僕 [シネマ&演劇]
映画ランキングトップをたまには見ようと、TOHO日本橋に行った。久しぶりのディズニー映画、字幕だけど親子連れもチラホラ。「何もしないことに忙しかった」子どもの頃を思い出してごらん、何もしないことがベストなんてこともあるんだよ。そんなメッセージが疲れた大人の心を癒す。
主人公のクリストファー・ロビンにはユアン・マクレガー。プーさんはもっと可愛い声かと思っていたので、声優の声はちょっと意外だった。父親と娘の関係は、あるあるですね。
昔の英国ロンドンとその近郊が舞台だけど、合理化、効率化ばかりを追求する社会へのアンチテーゼは現代にも通じる。仕事も結構だが、もっと休みをとって家族との時間を大切にしよう。そうした風潮は、娯楽帝国ディズニーにとって成長への追い風でもあるだろう。
黄金バット〜幻想教師出現 [シネマ&演劇]
猿楽通り沿いの明大キャンパスであった唐組公演を見に行った。座長の唐十郎さんの中学校時代の先生から妄想を膨らまし、便器やサンダーバード3号のようなモグラ掘削機、耳を切ったゴッホのエピソードなど、グロテスクな夢の世界を舞台に現出させてみせた。
唐さんの母校である明大では、その足跡をたどる企画展が開催中。権力や既成概念を打ち破るアングラ芝居の情熱、その熱量の大きさが魅力だとあらためて思う。まさに迸る言葉の奔流。理解しようとせず、身体と心で感じる芝居なのだろう。
終演の舞台に座長の唐さんが上がり、挨拶した。転倒して頭に大けがをして以来、久しぶりにみた。「ヨッ、唐!」と、この日一番の掛け声と大きな拍手が起きた。唐さんはダークスーツに黒のハットで、昔のようにカッコよく決めていた。公演中は、娘のミニオンさんらが付き添ってテントの後方の椅子にかけて見ていたが、「配役に注意して見ていたが、やあ面白かったね」と劇団員をねぎらっていた。またいつか、舞台上で見得を切る唐さん見たいなあ、と思った。
唐十郎1: 少女仮面/唐版 風の又三郎/少女都市からの呼び声 (ハヤカワ演劇文庫)
- 作者: 唐 十郎
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/02/06
- メディア: 文庫
ガンジスに還る [シネマ&演劇]
インドにあるヒンズー教の聖地・バラナシ。沢木耕太郎の深夜特急にも出てきたというが覚えていない。一度はインドの大地を踏んで放浪してみたかった。人生観が変わるという話を何度も友人らから聞いたものだ。
バラナシで人生の最期を迎えることはインドの人たちにとって最大の喜びだという。主人公の父親がある日、死期を悟り聖地へ行くと宣言する。戸惑う家族、仕事人間の息子が付き添い、バラナシの「解脱の家」に逗留することに。ガンジス河のほとり、悠久の流れにほぐされるように、次第に親子のわだかまりは消えていく。
ヒンズー教では、逝くことを魂が自由になる、という表現を使っていた。遺体はガンジスのほとりで荼毘に付される。日本人とは宗教観や習俗は異なるところもある。死期を悟った象はひとり群れを離れ象の墓場に向かう。迷惑をかけずに逝きたいという、父親の言葉が心に残る。終末期をどう過ごすか、周囲の看取りはどうあるべきか、など課題はどこでも一緒なのだ。
インドホリック インド一周142日間 (P-Vine Books)
- 作者: 旅音
- 出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク
- 発売日: 2010/07/03
- メディア: 単行本