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帰ってきたヒトラー [シネマ&演劇]

ドイツのティムール・ヴェルメシュのベストセラー小説を映画化。絶対悪であるナチス・ヒトラーがタイムスリップして現代に蘇る。ひょんなことからモノマネ芸人として大ブレイク、騒動を巻き起こす風刺コメディをAmazonで見た。

オリヴァー・マスッチ扮するヒトラーがまさにそっくり。変わらぬ情熱的な弁舌で愛国心を煽る演説をする。広がる経済的格差、流入する移民、社会の閉塞感、鬱積する不満。ナチスが台頭した時代を彷彿とさせる現代の時代状況がモノマネ芸人ヒトラーの演説をテレビで聞く視聴者に共感をもたらす。

国民的な人気者となった芸人ヒトラー。しかし、おぞましいホロコーストの記憶の中に生きる認知症の老女は突然正気を取り戻し、嫌悪感剥き出しの言葉を彼に投げつける。その激しい言葉は、映画を笑ってみていた我々に、仮面を被って忍び寄る全体主義の危うさを思い出させる。毒がてんこ盛りのあぶない映画だ。デヴィット・ヴェント監督。


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  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/05/20
  • メディア: Kindle版



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響ーHIBIKI [シネマ&演劇]

欅坂46の絶対的エースだった平手友梨奈の初主演作をアマゾンプライムの配信で見る。天才女子高生作家の衝撃デビューにまつわるすったもんだを描く。柳本光晴の漫画が原作。アイドル出身にありがちなラブコメとかではなく、ガチに小説を愛する今風の文学少女の現在を例によって、ほとんど笑顔なしの平手が演じる。

リアル女子高生ではありえない、やたら暴力的な行動は、いかにも漫画的。でも信念を曲げない一途な姿は、周りに迎合する大人たちへの反抗という意味でスカッとする、拍手喝采の場面でもあった。

文学賞レースに敗れた作家仲間や、かつての輝きを失った大御所たちへ、厳しい一言をズケズケと突きつける。今の文壇や出版業界を痛烈に皮肉っている。周囲のことなど気にせずに、「自分が書きたいものを書くんだ」。小説を書こうとする人に原点を忘れるなとエールを送る作品でもあった。月川翔監督。




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  • 作者: 柳本光晴
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/05/15
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三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実 [シネマ&演劇]

昨春公開の作品をアマゾンプライムで見た。三島由紀夫の衝撃の死から50年、割腹自殺する前年、1969年5月13日に東大駒場の900号教室であった東大全共闘との討論会のドキュメンタリーだ。当時、石原裕次郎よりも、長嶋茂雄よりも人気のあったスター作家の三島。天賦の才という言葉がピッタリくる知性的な発言、しかも学生たちに分かるように優しく語る、その姿に見惚れた。

観念論的な討論から始まり、最後は天皇論に。学習院を首席で卒業した三島、十代で敗戦を迎え、価値観の大転換を経験した。天皇親政から人間天皇になった昭和天皇に三島は不満だったという。それが楯の会結成や市ヶ谷駐屯地での決起に繋がっていく。政治の季節だった60年代、大阪万博の前の年はこんなにも若く熱い感情が列島を覆っていたのかと感慨深かった。平野啓一郎や小熊英二、橋爪大二郎らのコメントが印象に残ったし、しっくりきた。

討論は互いの立場を理解しつつも、どちらかが説得されるということはなかった。ただ、反米愛国という一点では共通しているのではないかというのが、この作品を作った豊島圭介監督の結論。全共闘の若者たちは卒業し普通に社会人となり、今や後期高齢者だ。それぞれが学生運動の挫折にどんな折り合いをつけたのか。言葉と熱情がキーワードだった時代はもはや遠い。


三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2021/02/26
  • メディア: DVD



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シン・エヴァンゲリオン [シネマ&演劇]

ついに完結したエヴァンゲリオンを見に行った。アニメの枠を超えた、まさに一大叙事詩。総監督庵野秀明の頭の中を、想像力を映像に表現した。その世界観を汲み取ろうとスクリーンに釘付けになった。

NHKの番組プロフェッショナルで庵野の特集を見た。父親が事故で片足を失い、その姿、生き方が彼の思考を決定づけた。シンジ、飛鳥ら物語に出てくる人物はみんな「何かが欠けている」という。人は誰しも完全ではない。完璧なものなど、この世にはない。完全無欠な存在があるとすれば、それは神である。「人類補完計画」は、まさに神になって人類をリセットする企みなのだ。

エヴァが描く世界は、人間が発明したテクノロジーの究極の姿の一つかもしれない。果てしなき宇宙からの脅威、いや、その前に既に我々は、地球規模のパンデミックに見舞われている。脅威的な兵器の戦闘場面の一方で、作品では、1日中汗水流して糧を得る「平凡な日常」を長い時間を割いて描く。父子の葛藤や恋愛、友情という感情を絡めながら。ラストで庵野の生まれ故郷・宇部の街が映る。心の原風景を大事にして生きたいという思いだろうか。

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すばらしき世界 [シネマ&演劇]

2月28日で緊急事態宣言が解除されるので、2日ほどフライングだが、映画鑑賞を解禁した。最近のシネコンは換気がしっかりしていて、客席も一つ置きにするなど、感染対策は徹底しているのは知っていたが、宣言中は気分的に行く気がしなかった。家族連れで見る作品ではないので、土曜昼間なのに客席は閑散としていて、ホッとした。

役所広司主演、西川美和監督。人生の大半を刑務所で暮らした元殺人犯が世間で生業に着こうともがく様を、ドキュメンタリー番組にしたいと考えるテレビマンの視点で描く。短気で粗暴な言動はまともではないが、まっすぐで男気のある性格は気持ちがいい。そんな男を周囲はなんとか、真っ当な人生を歩んで欲しいと世話をする。とはいえ、嫌なことは我慢し、見たくないものには目を瞑り、同調圧力に従いながら、社会の枠をはみ出ないように暮らす人々にとって、男への世話は「それなりに」しかできない。みんな自分が可愛い。思った通りに行動する、男のような生き方にある意味、憧れがあるのかもしれない。

男にとっては、ムショ暮らしが天国であり、シャバは地獄だった。理不尽なラストで「すばらしき世界」というタイトル自体が観客たちに問いかける。原作は佐木隆三「身分帳」。佐木さんは北九州出身で、主人公の男は筑紫野出身という設定だから、作品では九州弁が全開だ。東京の電車内で九州弁で普通に(多少大声で)話していたら、周囲の人たちからヤクザが喧嘩しているのかと白い目で見られたという笑い話をかつてはよく聞いた。そんなことを考えながら、イオン筑紫野で久しぶりのシネマを楽しんだ。
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 [シネマ&演劇]

推している小松菜奈と菅田将暉主演の「糸」をアップルTVレンタルでみた。確か昨夏公開だったが、もうWEBで見ることができる。興行不振でオンライン配信という流れ、皮肉だが「コロナのおかげ」なのだろう。

中島みゆきの名曲「糸」から紡ぎ出したストーリー。すれ違い、数々の障害、葛藤を乗り越えて、ラストは結ばれる。平成という時代のさまざまな出来事が背景として映し出される。東日本大震災があり、DVが問題化し、シェルターとしての子ども食堂が地域にできた。自らの歩んだ道のりにいつしか思いが及ぶ。

「逢うべき糸に出逢えることを人は仕合わせと呼びます」という歌詞がずっと頭の中を駆け巡るけれど、劇中で主人公らがカラオケで熱唱する「ファイト!」もあらためて身に沁みる歌だなあと思う。北海道の美瑛、函館、東京・新宿、シンガポール。赤い糸の物語よりも、心のふるさとに還る、たどり着くストーリーに優しい気持ちになった。瀬々敬久監督。


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  • アーティスト: 中島みゆき
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックコミュニケーションズ
  • 発売日: 2020/12/02
  • メディア: CD



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恋は雨上がりのように [シネマ&演劇]

小松菜奈と大泉洋主演。女子高生が冴えない中年のファミレス店長に片思いするロマンス。クールな感じの女子高生役がハマる小松菜奈が好きで、公開当初見に行こうと思っていたが見逃していた。アマゾンプライムに上がっていて、ようやく見れた。

陸上部のエースでアキレス断裂、やけを起こしてバイトで気を紛らす日々。優しい店長(これまたファンの大泉洋)に引かれるという筋。最初から結末はわかっていたが、小松菜奈のあの視線、睨む目がいいんだよね。制服のミニスカートも似合う。

もうすぐ公開で菅田将暉と共演する「糸」を見にいきたいんだけど。コロナで少しばかり躊躇し思案中。映画館は大丈夫と思うんだけど。家族がいるから万が一を考えてしまう。もう1年待ったらアマゾンプライムにあがるかな?

恋は雨上がりのように コミック 全10巻セット

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  • 作者: 眉月 じゅん
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  • 発売日: 2018/04/27
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大林宣彦監督 [シネマ&演劇]

先日亡くなった大林宣彦監督の追悼企画をテレビで相次いで見た。「時をかける少女」と「狙われた学園」。原田知世と薬師丸ひろ子、ともに昭和のアイドル的女優。いずれも角川映画で当時ヒットしたのだが、何せ社会人になってアイドル映画を見に行く気にはならなかったのだろう。時を経て、いずれも初めて見ることになった。

「時をー」は筒井康隆の原作。文庫で読んだはずだが、あんなラストだったっけ。知世ちゃんのあの透明感、セーラー服姿がたまらない。周囲にもファンが多かったなあ。あのイメージをずっと壊さないようにしながら、歳を重ねてきたんだろうね。舞台の尾道は一度訪ねて見たいと思いながら、行きそびれてきた。坂がきつそうだけど、今の騒ぎが収まったら旅したい。

ひろ子ちゃんの映画は結構見ているのだが、「狙われたー」は抜けていた。「時をー」と一緒で主題歌はユーミン。「守ってあげたい」を口ずさんだ。超能力者として出てくる峰岸徹がエグい。眉村卓の原作で、ひろ子ちゃんの爽やかなお色気がいい。なぜか家では和服姿でこれもしっとりしててよろしい。最近はお母さん役が多いけど、安心感があって好感が持てるね。
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ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 [シネマ&演劇]

人間ドックが早めに済んだので、日比谷TOHOで映画を見ることにした。平日の正午すぎ、コロナ自粛もあって、一番大きなスクリーンに30人ほどの観客。気分的にもこれなら感染の心配もないと安心する。

で、見たのは「ハーレ・クイン」(フランス語で道化師・アルルカンの英語読み)。あのジョーカーの元カノが独り立ちし、暴れまくるというストーリー。派手派手な出で立ちのマーゴット・ロビー。モラルなしのやりたい放題。金属バット片手に悪党どもをボコりまくる。アメコミ、DCコミックが原作で、そのアメリカンな薄っぺらさがハイな気分に拍車をかける。不幸な生まれつきだが、努力して?精神科医になり、それからアウトローの世界へドロップダウンしたというキャラ設定。いやあ、ハリウッド映画らしいなあ。

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いろいろと評判の硬派映画も公開されているが、コロナ疲れにははちゃめちゃなアクション&コメディーがお気楽でイイね! 肩の力が少し抜けました。キャシー・ヤン監督。
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ベルリン 天使の詩 [シネマ&演劇]

新型コロナの感染拡大で、舞台や映画館に行くのもちょっと不安になってきた。仕事以外は引きこもり生活が一番安全かも。当面は、以前から見ようと思っていた映画のDVDを借りて楽しむことにした。一発目は、1987年公開の「ベルリン 天使の詩」。ヴィム・ヴェンダース監督で、カンヌ受賞作品だ。

大した予備知識なく見始めたが、モノクロで字幕も詩的でついウトウトしてしまう。永遠の命を捨て、人間になった守護天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)が地上に降り立ったところから世界はカラーになる。サーカスの舞姫マリオン(ソルヴェーグ・ドマルタン)との運命的な巡り会い、元天使のコロンボこと、ピーター・フォークが懐かしかった。

ベルリンの街には天使の意匠が多く、そこから構想が芽生えたらしい。作品のイメージを広げた、パウル・クレーの天使の絵、詩人ペーター・ハントケの作品もいつか鑑賞してみたい。西ドイツとフランス合作。ベルリンの壁があった冷戦時代に思いを馳せた。


ベルリン・天使の詩 コレクターズ・エディション(初回生産限定) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2012/11/02
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